お金を知らない子(2)

稔君は「希望稔」という小学6年生の男の子です。
家族でスキー場に遊びに来て、一人でスノボー
使って遊んでいたところ凹地に落ちて気を失い
気がついて元に戻ってみたら誰もいない。


「スキー場に誰もいないなんてどういうこと?」
焦った稔はさっそくスマホを取り出して父親に
電話してみた。
「あ!お父さん?」
「稔どこへ行ったんだ。みんな心配してるぞ」
「スキー場には誰もいないじゃないの」
「あ~そうか」


お父さんにはすぐわかったようです。
「あのね、心配しなくて良いよ」
「僕はどうなったの?」
「違う次元に行ってるんだよ」
「え~!そうなの?」
「心配しなくても戻れるから安心して」
「すぐ戻れるの?」
「すぐ戻れるけど、どうする?」
「どうするって?」
「違う次元でいろいろ冒険してみるのはどう?」
お父さんは稔に体験して欲しかったようです。


「何を冒険するの?」
「そっちの世界は一つ前の次元だと思うんだよ」
「それが僕にはわからないよ」
「学校で歴史を学ぶより体験で学んだほうが良い
 と思うんだよ」
「なるほどね」
「帰るのはいつでも出来るから心配しないで」
「うん。わかった」
「でも、スマホだけは無くさないでくれよ」
「疑問に思ったんだけどね何で電話できるの?」
「最近通信技術が新しくなったんだよ」
「へ~そんなんだ」
稔はそれが何だか聞く気にはなれなかった。
聞いたところで理解するはずが無かったらである。


電話を切った稔は
「さて、これからどうすれば良いの?」
とつぶやきながらゲレンデのレストランに向かった。