小説の下書きを書いてみよう(9)

稔はボランティアの素晴らしさや大切さは体験して理解していた。しかし、ボランティアしか存在しない社会なんてあり得るのか疑問だった。


人生経験豊富の素子に質問してみた。「素子さん、僕は経験不足でよくわらないんですけど、ボランティアだけで大丈夫ですか?」「人生経験は稔君より多いけどボランティア社会はいままでなかったからね、私なりの意見だけど大丈夫だと思うよ」「どうしてそう思うんですか?」「それはね、私の実家が農家なの、野菜やお米を作っているのよ」そこでコメントが終わっていた。


稔は「どうしたんですか?」とコメントを書いて心配していたら「ごめんなさいね、主人が帰ってきてご飯の支度をしなきゃならないの、出来たらインターネットで農家の働く年齢を検索してみてね」「はい、わかりました」稔は安心した。


稔は農家の働く人たちの年齢を調べれば何かが分かるんだと思って検索してみた。
農林水産省のHPで調べると平均年齢が67歳とあった。
稔は小学5年生のとき社会科で食料自給率や農家の高齢化の話は習っていたがあまり記憶に残ってはいなかった。


学校の宿題を済ませお風呂からあがってパソコンのスイッチを入れてみたら、すでに素子がコメントを入れていた。「さっきはごめんなさいね、主婦の仕事もしなくちゃいけないから(笑)、ところで検索してみましたか?」「はい、僕も宿題とお風呂を済ませてきました、農家の年齢は平均で67歳と書いてありました」「農家の高齢化は知ってるよね?」「はい、5年生のとき習いました」


「農家のお年寄りはお金を稼ぐという気持ちはないのよ、野菜やお米が出来るように働いているの、自分たちや他のみなさんに食べてもらえるようにね」「そうなんですか?」「でもね、お金の要る社会でしょ?損してまで作りたくない農家が増えてきたの、だから作らなくなった田んぼや畑が増えているの」「そっか〜、お金が儲からないと作れないんですね?」「そうなの、お金儲けのために作る人が増えてきたの」


稔はチョット考えてみた。
お金のない世界になったら農家の人も安心してお米や野菜を作ることが出来るんじゃないか?
日本の食糧は平均年齢67歳のお年寄りが作っているという現実。
67歳といえばお金儲けの労働社会から卒業した人たちである。


稔は働くことの意味がわからなくなった。