小説の下書きを書いてみよう(8)

「生産って必要とする人がいるから作るんでしょ?」と素子に質問を書いてみた。「そうよ」「日本では物があふれていっぱい余ってるって聞いたことがあるよ」「でもね工場は作り続けないとお金が入ってこないのよ」「余ってるのに作り続けるの?」「それはね外国に輸出して売ってるの」「そうなんだ」稔は納得したけど世界が一つの家族と考えれば疑問が起きた。


「あの〜もう一つ質問して良いですか?」「どうぞ」「社会勉強で輸出する車の船積みを見に行ったことがあるんです、すごいなーって思ったけどこれだけたくさん運ぶのなら現地で作れば良いのにって思ったんです」「自動車会社が世界に一つしかないのならすべて現地生産するでしょうね」そこへ栄治がコメントをはさんだ「会社がいっぱいあって競争するから仕方がないんだと思うよ」


稔は栄治に聞いたみた「栄治さんは売り上げを上げるために働いているんでしょ?」「そうだよ」「売り上げを上げないとどうなるんですか?」「給料泥棒と言われたくないから辞めるだろうね」「給料泥棒ですか?」「会社で働くためには会社が儲かるために働かなきゃいけないんだよ、会社が儲かっていないのに給料だけもらうのはつらいよね」


稔はお金の要る社会での大人の大変さが分かったような気がした。
稔はお金の要る資本主義社会という言葉を検索してみた。
<資本主義社会は、まず第一に商品生産者の社会である。各人は生産手段を私的に所有し、私的労働の産物である商品を相互に等価で交換する。>


「僕調べてみたんです、お金の要る日本では資本主義社会って言うんですよね、やっぱり交換って書いてありました」「そう?よく調べたわね」「物々交換がなくなればお金もなくなるって言ったよね?」「そうよ」「じゃあ、働くという意味が変わるの?」「そうね、変わるわねお金を稼がなくても良いんだからね」


「僕、学校でボランティアというのに参加したことがあるんです、ゴミ拾いとか老人ホームでの演奏会とか、それを思い出しました」「そう、えらいわね、ご褒美はお金ではなく誰かが喜んでくれることでしょうね」「はい、それを思い出したんです」


稔はお金のない世界はボランティアの世界だと思った。
でも、「ボランティアだけの社会なんて出来るのか?」なぞは深まる。