小説の下書きです(40)

先生は生徒たちに言いたかったことはまだあったようです。
「君たちにもう一つこれから連想してもらいたいことがあるんだ。それはね、いじめの問題なんだ」「いじめの問題と関係あるんですか?」「この文章を考えて欲しいんだよ『自分を大切にしたいのなら周りの人を大切にすること。周りの人を大切にすると周りの人は自分を大切にしてくれる』」


「いじめることは人を大切にしないからですか?」「そうだね、さっき『愛』の話があったよね。嫌いな人は愛せないって。愛は大切にする心とも言ったけど。『敵を作らない』ということを言いたかったんです。これは稔君の意見を参考にしました」


「敵を作らないほうが良いって、どういうことですか?」「それはね、敵を作るとやっつけたくなるんだよ」「味方は大切にするけど敵は大切にしないってことですよね」「そうなんだよ。きらいな人でも敵ではなかったらいじめたりすることはないんだよ」「そっか〜!」「世界でも敵がいなかったら戦争だって起きないだろ?」


生徒たちは世界平和の話からいじめの話に納得がいった。


「稔君はインターネットで大人の人たちとほかにどんな話をしたんだい?」「世界平和は戦争をしないことだけど、敵を作らないためには家族のように必要としあう関係が良いって言うことでした。人様に迷惑をかけてはいけないことも大切だけど人が喜ぶことをしようというのも大切だって」


「稔君が言ったように学校では人に迷惑をかけてはいけないって教えるけど人が喜ぶことをしようと積極的に教えなかった気もするよ。これは教育委員会にも提言しようと思う。そこでみんなに提案なんだけどね、稔君を国連へ行かせようと思うんだ」
「え〜!」生徒全員がビックリして驚きの声をあげた。この世界平和の提案書は稔君の大人の友だちが作ってくれたものだけどね、稔君が国連で発表するために作ったそうなんだ」


またまた生徒たちは驚いた。
子供が国連へ行くなんて、誰も思ってもいないことだったからである。


「君たちの未来のためにも世界平和を実現したいし、僕たちの仲間が国連で演説をする姿を見たいじゃないか」「はい!賛成で〜す」教室は歓声と拍手で満たされた。