そして世界は変わった(働くこと1)

大規模リサイクルセンターが全国に建設されて
失業者はまったくいなくなりました。
もちろん食べるものも住む所もみんな確保されました。

過労とか残業とか無くなって働く時間も少なくなり
休日もたくさん取れ家族はいつも楽しく暮らしています。

まだ独身の友人が遊びに来ました。
「ね〜、僕今の仕事に飽きちゃったんだけど」
「おい、またかよ。これまでいくつ仕事を変わったんだよ」
「え〜とね〜、まだ5つしか変わってないよ」
「5つも変わればいくらなんでも適職は見つかろうに」
「正直言うとね、いろんな仕事を経験してみたいんだよね」
「一つの仕事をやり通す人もいるけどね」
「よく言われるんだよね〜『お前は飽きっぽい』って」
「いろんな仕事をして良いこともあると思うよ」
「どんな良いことがあるの?」
「いろんな人の立場が理解できるだろ?」
「人の気持ちが少しは理解できるってことだよね」
「それにいろんな職を身に付けておくと便利だよね」

大規模リサイクルセンターに限らず多くの会社や職場で
貢献ポイントの流通が盛んになってきたおかげで
労働の流通が容易になってきたようです。
それは「利益」にこだわらなくても経営が成り立つことです。

若者の間で転職が一つの勲章みたいに評価されています。
「ねえ、マー坊さんはいくつ転職したの?」
「そうね〜、僕は10個くらいかな?」
「けっこう変わったんだね〜」
「うん、おかげでいろんな知識が入って人生おもしろいよ」
「マー坊さんの若い頃労働時間も決められていたんでしょ?」
「そうだよね、冬の寒い時なんかつらかったね〜」
「近頃じゃ勤務時間も自由に選べるようになったよ」
「へ〜、それじゃあ通勤ラッシュなんか無くなるよね」
「通勤ラッシュってもう過去の遺物だよ」

たしかに労働者が増えれば仕事量が変わらない限り
一人当たりの労働時間は少なくてすむんですよね。
しかも必要な生産量しか要らないんだから資源の無駄が無い。

「ところで、次はどんな仕事をしたいの?」
「そうなんだよね〜結婚もしたいしね」
「結婚したら奥さんは仕事どころじゃないよね」
「結婚して子育てに専念するとなるとね〜」
「そう言えば子育てにもポイントを支給する計画があるよ」
「それって育児支給って言う補助金みたいなものなの?」
「いやいや、そうじゃなく。育児もれっきとした仕事だよ」