お金の要る社会の矛盾

<介護の話>


「あら!奥さん何を勉強してるの?」
「介護の資格を取るのよ」
「もう何年も付き添い婦をしてるじゃないの」
「資格を取らなきゃ仕事がしにくいのよ」
「資格の時代だからね〜」


「ところでご主人は?」
「寝たきりになって入院したのよ」
「介護の資格はご主人のためなの?」
「いや、そうじゃなのよ」
「ご主人の介護はしないの?」
「入院費を払うために働かなきゃいけないの」


「他人の介護より夫の介護が大切でしょ?」
「主人の介護じゃお金が貰えないじゃないの」
「生活費も入院費も要るんだもんね」
「夫の介護より他人の介護が優先されるなんてね」
「主人も一人で寂しがっているけどね」
「世の中おかしいんじゃないの?」



<子育ての話>


「奥さん、これからお仕事?」
「はい、隣町の幼稚園まで」
「そういえば保母さんだったわね」
「離婚して働かなきゃいけなくなったのよ」
「小さいお子さんは?」
「私が引き取って近所の保育園に連れて行くの」


「シングルマザーも大変ね〜」
「自分の子供を他人に預けて
自分は他人の子供の面倒を見るなんてね(笑)」
「自分が働いてお金を稼がなきゃ
親権が元のご主人に変更されるんでしょう?」
「そうなんですよ」


お金のない社会では
「自分が出来ることで社会貢献する」が仕事。
家族の介護も子育ても立派な仕事です。
立派な社会貢献なんです。