小説の下書きです(43)

稔は学校へ行くとさっそく友達に取材OKの話をした。そして担任の先生にも報告すると「良かったな〜、頑張れよ。応援してるからな」と言ってくれた。


翌日テレビ局から稔の自宅へ電話がかかった。
「テレビ局のものですが、希望さんのお宅ですか?」「はい」「稔君のお母さんですか?」「はい、そうです」「取材の承諾をしていただいてありがとうございます。3日後の夕方7時から二時間伺いたいのですがご都合はよろしいでしょうか?」「はい、いいですよ」「でわ、よろしくお願いします」「こちらこそよろしくお願いします」テレビ局の取材日時が決まった。


その日の夕方学校から帰った稔はお母さんから「テレビ局の人から電話があって、3日後の夕方7時から二時間取材に来るってよ。部屋の掃除をしておいてね」と言われ「うん。わかった」と自分の部屋に行った。


稔は部屋に入ったとたんパソコンの電源を入れた。
「どうしよう。どうしよう」とつぶやきながら。
いつもの掲示板を開いて「みなさん、ついに取材の日にちが決まりました。3日後の夜です。何を話していいのかわかりませんあせってます」と書き込んだが誰もコメントを書いてくれなかった。


その夜パソコンを覗いてみるとみんながコメントを入れていた。


「稔君よかったね、あせらなくても大丈夫だよ」「ついにやってきたね。思っていること話せば良いよ」「大丈夫よ。ここで話すように話せば良いのよ」「カメラに向かって話しちゃダメよ。質問した人の目を見ながら話してね」「みなさん、ありがとうございます」


そして3日後その日が来た。
「こんばんは。テレビ局のものですが」「は〜い」
稔のお母さんが玄関に迎えに出た。お母さんは昼間のうちに美容院で髪のセットとメイクをしっかりしていた。


「こんばんは。きょうはよろしくお願いします」男性カメラマンと女性レポーターの二人が玄関の前に立っていた。
「こちらこそよろしく、どうぞこちらへ」と二階の稔の部屋に案内した。


「稔君こんばんは」「あ!はい、こんばんは」「よろしくお願いしますね」「はい、お願いします」稔は緊張して深呼吸をした。
「稔君は星が好きなの?」「はい」レポーターは稔の緊張をとぎほぐすように部屋の写真を見て言った。


「僕は宇宙が好きで天体写真なんか飾るのが好きなんです」「そう、いいわね〜」「これがプレアデス星団でこちらがアンドロメダ星雲です。そしてこっちがオリオン大星雲です」「まあ、きれいな色ね」


レポーターはカメラの準備が済み、稔の緊張もほぐれたところで稔の前にマイクを差し出して「ちょっとテストするからお話してくれる?」「はい」「マイクの音量を確かめないとね。きょうは二人だけだから大変なの」と笑って穏やかな雰囲気になった。


「それでは稔君に質問しますね」「はい」
取材が始まった。