小説の下書きです(50)

自宅に帰った稔は家でも学校でもテレビ局での話題に持ちきりだった。「芸能人に会ったの?」とか「サインもらえばよかったのに」とか。


掲示板では収録の報告会が行われた。
5時間に及ぶ収録が1時間番組に編集される。しかもCM時間を入れると40分程度である。その代わり日曜日のゴールデンタイムにしてもらった。
「幸夫さん、稔君お疲れ様でした。一週間後には有名人になってますね(笑)」「僕たちより世界平和やお金のない世界に興味を持ってもらいたいですね」


「テレビの収録で思ったことなんだけどね。経済学者が専門的なことを質問されて答えられない場面があったんです。そんな時どう対応したらいいのか?」「そうですよね。私たちは専門家ではないですからね」「僕たちはきっかけを作るための活動だと思えば良いんじゃないですか?」「世界平和はこうすれば出来ますよって、方法を提案するしか出来ませんからね」


一週間後テレビ番組の放送日が訪れた。
番組タイトルは「12歳の少年が世界を変える!?」だった。
放送時間がゴールデンタイムと、ユーチューブのコメント欄に放送予定が書かれたこともあって視聴率は高かったようである。


放送の翌日、学校では稔はヒーローのように扱われたが稔はいつもの態度でいた。
一方掲示板では多くの賛同者がコメントを入れていた。「稔君、国連に行けるよう応援してるよ」「私たちの学校でも勉強会をしますね」など読みきれないほどだった。


「稔君、ここまで広がったら挑戦してみたいことがあるんだよ」「幸夫さん、なんとなくわかりますよ」稔がこう応えると栄治が「ついにやってみますか?」と理解したようにコメントを書いた。
「何々、みなさん何を計画されているんですか?」美佐枝も参加してきた。「ついに来たんですね。国連でしょ?」と素子が入ってきた。


国連での演説はどうすれば出来るのかは誰も知らなかったが、思いつくままに関係機関のブログへ行って提案投稿することになった。
数日後「皆さんに報告があります。国連本部からメッセージが届きました」と幸夫が緊急連絡を掲示板に載せた。