小説の下書きです(52)

国連での演説が決定してから、もう一度提案書の内容を確認することになった。
それは栄治が「一つの国の中でも違う民族がいたり生活や風習が違えば支援の仕方が違わないと支援の押し付けになるんじゃないですか?」という疑問だった。


提案書には「世界中の国と地域が参加して作られます」と書かれてあるものの、地域性をもっと強調しておかないと発展途上国の人たちに不安を与えるかもしれないと思ったからであった。

栄治の提案で提案書はこれ以上の長文にならない程度に文章の書き加えを考えた。
「このあいだ誰かが言っていたけど地域によって生活が違うから地域に応じた活動が出来るようにするために地域の人がリーダーになって指示するようにしたら良いんじゃないですか?」美佐枝が提案した。


「そうですね、たしかにこういう話はしたけど提案書には書いておいたほうが良いですね」「他にも疑問に思うことは出てくると思うけど世界平和への道筋がイメージできれば細かいことはあとから考えても良いんじゃないですか?」「そうですね、とりあえずこの文章だけ入れておきましょう」


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国際支援団の活動の仕方を少し説明させていただきます。

国の代表だけでは部族間の格差が出来ますので
地域活動の組織編成は地域の人がリーダーとなって
世界中の人が参加して行います。
地域の風習やしきたりや宗教に合わせた活動が
求められるからです。
それぞれの地域や宗教を大切にし合う関係を作れば
世界平和にもつながると思っています。

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新しい提案書が出来て演説の準備は出来上がった。
そして
演説の二日前に幸夫と稔は東京羽田からニューヨークまで行くことになった。
およそ13時間ものあいだ稔は高所恐怖症を感じることもなく飛行機から見る地球の素晴らしい姿を満喫していた。


ニューヨークに着いた二人は国連職員の迎えを受けてホテルまで案内された。そして、翌日は国連本部に案内されて演説のための打ち合わせが行われた。
打ち合わせが終わると二人は職員の案内で街の観光とお土産を買うことになり有意義な時間を過ごした。


いよいよ演説の日を迎えました。
ホテルでは早めに起きた幸夫と稔は国連職員の迎えが来るのを待った。あまり待つ時間もなく国連職員が乗った車がホテルの前で静かに止まった。
「稔君さあ行こう」幸夫は稔に言って車に向かった。