前略・父上様母上様

梅雨が明けたような清々しい晴れの日になりました。
世間では学校が夏休みに入りました。
子供の頃の夏休みが懐かしく感じられます。

駐在所に住んでると休日の無いような毎日でしたが
それでも海水浴へ連れて行ってくれたり
ハイキングへ連れて行ってくれたり。
思い出をいっぱい作ってくれて感謝しています。

父や母の生き方・考え方が知らず知らず身についています。
でも成人してからわがままな自分が周りの人の心を傷つけ
両親の寿命を短くしたこととても反省しています。

「親を心配させることは親孝行だ」と自分勝手に思ったり
自分の都合で全てを決めようと意見を押し付けたり。
今になって思うと「親の心子知らず」が身に染みます。

あちらに行かれてもう何年も経ってしまいました。
ある時僕がトラックから後ろ向きで落下する時
母上の手を借りたことをとても感謝しています。
あの時は母の手を感じゆっくり地面に置いてくれました。
確かに懐かしい母上を感じました。

ある人に言われたことがあります。
「親は子を見守ることしか出来ない
本当に困った時親が助けてあげれば良い」って。
それを思い出させてくれた体験でした。

生きている時は邪魔者扱いばかりしてごめんなさい。
本当は僕のことを心配してくれていたんですね。
母上が亡くなる直前まで僕の名前を言っていたそうですね。
クソババアっていつも言っていたのに
僕のことばかり気にかけてくれていたんですね。

今頃になって親孝行を考えるんです。
親が居なくなっても親孝行は出来ないものか?
それは親に自慢出来る生き方をすることじゃないかと。
親は子供を育てるとき「こんな大人になって欲しい」って思う。
喜怒哀楽を経験から学び親が求める人間像を学ぶ。

親が求める人間にはなれないかもしれないけど。
親に自慢できる人間であればいいと思う。
それを今頃になって思うようになりました。

共に生きて共に学んだ時間はもう過去になってしまったけど
これからの人生はそれを活かすことだと思いました。
思考錯誤は死ぬまで無くならないけど
経験は無駄にしたくないですね。

一粒の雨が天から舞い降り共に地上で育んできて
いずれ大海に戻って行くように
父上も母上もそして僕もすべては成長しながら
つながっているんですね。

見えなくてもいつも一緒だと思えば寂しくないです。
心はもともと見えないもんね。
今の自分があるのはすべて過去なんですね。
過去の皆さんに感謝しています。
ありがとうございます。

父上様母上様
僕は元気です。
ありがとうございます。