資源はゴミとなる社会(十個目の職場)

十個目の職場は産業廃棄物の運搬でした。
知人に誘われたんですけどね。
「2トンダンプでゴミを運ぶんだけど
いい勉強になるからやってみませんか?」って。


収入を取りながら勉強になるんならやってみよう。
そう思って運送会社に入りました。


仕事は簡単でした。
建設会社やリフォームの会社の下請けです。
産業廃棄物ってきれいな物ばかりじゃないですよ。


建設現場に置かれてあるゴミ置き場には
空き缶や弁当の食べ残しなどもあるんです。
そこには
ゴキブリやネズミなど
時にはうじ虫が沸いているんですよ。
雨降りの時は泣きながらやってましたよ。


とくに家屋のリフォームの場合
大工さんがお客さんにこんなことを言うんです。
「家に要らないものがあれば出しておいて
業者に一緒に持って行ってもらうから」って。


僕たちは回収しないわけにはいかないから
何でも持って帰るんですけどね。
社長に相談すると・・・
「分別は時間がかかるからここへ持って行け」って。
不法投棄ですよ。


こりゃあいけないと思って
「普通の運搬の仕事をやらせてください」って言って
工場へ運ぶ普通の運送の仕事に変えてもらいました。


案の定警察の手入れがありましたよ。
産業廃棄物の免許は取り上げられてしまったけどね。

山間部には県知事の免許をもらって営業している
産廃処分場があります。
穴を掘って埋めたり
谷のような所に産廃を捨てて土をかぶせるんです。
その上には緑地公園のようにきれいにしてね。


そんな状況を見て思ったのが
土壌汚染は何年も先に起きるんだろうな〜って。


そして
まだまだ使えるものをいっぱい捨てる。
もったいないな〜って思う。
利益を上げる経済活動のためには
使い捨ては必要だし
リサイクルは出来ないんです。
コストがかかるから。


本気で
大規模リサイクルセンターが必要だと思ったのも
お金の無い社会にすることが必要だと思ったのも
この時ですね。


産業廃棄物の運搬は一年半やってやめました。
その後数年間は製鉄所やソーダ会社、製薬会社など
大きな工場へ石灰や次亜塩素酸ソーダなどの配送です。


そして・・・
次の仕事は今のパートの仕事です。