未来を語り合う(後半)

「個人的な問題は無いことはわかったけど
 生産や物流は安心できるのかしら?」
「安定した生活を維持するためには必要ね
 いくらお金を持っていても生産となるとね」
「お金の要る経済では生産の矛盾を知ってる?」


「大量生産・大量消費・大量廃棄でしょ?」
「それだけじゃないでしょう?
 必要の無いものまで作るんじゃないの?
 それに
 コストを下げるために不良品を作ったり
 農薬だらけの野菜を作ったりね」


「必要なものを必要な量だけ作るとか
 環境に良いもの健康に良いものだけを作る
 そういうことが出来ないのが欠点ね」
「未来はそういう問題は解決するの?」
「そうだよ
 必要なものを必要な量だけ作る
 環境や健康に良いものしか作らない
 そして
 すべての生産物を循環させることが出来るよ」


「循環って?」
「車や家具や食料品などすべての生産物が
 今までゴミとして処分していたものが
 すべて回収されて再利用されるんだよ」
「今でもそれは出来ているんじゃないの?」


「今のお金の要る社会では
 コストがかかるからという理由でね
 大半はゴミとして処分しているんだよ」
「資源がもったいないよね
 それに
 ゴミを増やすと環境が汚染されるしね」


「お金の要る社会では
 利益を上げないと成り立たないんだよ
 お金を循環させるためにね」
「お金のない社会なら
 お金を循環させる必要が無いから
 すべての資源を循環させることが出来るんだね」


「必要なものが生産されて
 必要とする人たちに分配されて
 すべての生産物が資源として循環していく
 これなら
 地球と人間が共存できる生き方が出来るよ」


「生産と物流の話はなんとなくわかったけど
 お金のない未来って不思議に思ったことあるよ」
「何が不思議なの?」
「文明が発達したからお金が出来たんでしょ?」
「そうね」


「お金のない社会って
 原始的な社会のような気がするんだけど(笑)
 しかも
 物々交換をしなければ何も手に入らない(笑)
 物を持っていない人は
 物々交換が出来ないからどうなるんだろうって」
「そこが誤解されることよね
 お金はね
 物々交換を便利にするために作られたのよ」


「え?」
「お金の要る社会は物々交換の社会なの
 物々交換を便利にするために作られたんだから
 だから
 お金は単なる道具なのよ」
「お金のない社会は交換する物は要らないの?」
「まったく要らないのよ」
「だって
 必要なものが必要な量だけ生産されていれば
 お金なんか必要ないでしょ?」


「物々交換の社会って見返りを求める社会なの
 だから
 少ない努力で多くを得るために知恵を使うのよ」
「お金のない社会はすべてが無料だから
 見返りを求めなくても気持ちよく仕事が出来る
 だから貢献社会って言うんだね」


・こうけん【貢献】(大辞林 第三版の解説)
1、物事や社会に力を尽くして,
 よい結果をもたらすこと。寄与。
2、貢ぎ物を奉ること。また,その貢ぎ物。


「貢献ってなんだか難しいけど
 子どもの心と同じよね」
「なぜそう思うの?」
「子どもって親のお手伝いをしたがるでしょ?
 それに
 親が喜んでくれると嬉しいじゃない?
 自分は親の役に立っている
 とか
 ありがとうって言われると頑張りたくなる
 とかね」


「人間は他の人間の役に立つことが良いんだね」
「できれば
 地球の役に立つとか、宇宙の役に立つとか(笑)」
「細胞が体のために存在するのと同じね」
「その例えはわかりやすいよ(笑)」


「未来は戦争も飢餓も貧困も無くなるって?
 なぜ無くなるんだろう?」
「それは
 お金のない世界になることがきっかけだと思うよ」
「お金のない世界って奪い合いの世界になりそう」
「でも
 なぜ戦争や飢餓が無くなるの?」


「お金のない世界は助け合いの世界になるんだよ
 物が不足する地域は物が余る所から流れ
 技術が無い所は技術がある所から流れて行く」
「資源も同じことが言えるの?」
「そうだよ
 領土問題の大きな原因は
 資源の奪い合いだと言えるんだよ」


「奪い合いをするから戦争が起きるんだね?」
「飢餓も貧困も無くなったら紛争さえ無くなるよ」
「お金のない世界になれば実現できるってことよね」
「本当はお金の要る世界でも実現できるんだよ」
「だって現に実現できていないじゃないか」


「軍隊にお金をかけるくらいなら
 国民レベルの交流や
 相手国の問題解決にお金を使えば良いんだよ」
「自国のためにお金を使うのではなく
 他国のためにお金を使うことが良いってことね」
「それは
 個人でも同じことが言えるんじゃない?
 周りの人を大切にすると
 周りの人は自分を大切にするってね」


「戦争も争いも無くす方法なんだ」
「そんな簡単なことが出来ないのは何故?」
「自分を大切にする方法が間違っているってことだね」
「お金の存在が個を分けてしまっているって感じね」


「いろいろ語り合ったけど
 一つの結論として
 世界を一つの家族として考えるべきよね」
「家族はお金のやり取りなんかしないもんね」
「『地球は生命体だ』と言われるように
 地球が生きているお陰で人間も生きていけるんだよ」


「人間の経済活動が
 地球中心より人間中心の生き方を優先させているんだね」
「未来はやっぱりお金が無くしたほうが良いの?」
「『お金はあっても良いじゃないか』と
『お金はないほうが良い』と両方の意見はあるけどね」


「『お金はあっても無くても人間の生き方次第だ』
 との意見は多いから
 『生き方次第ならお金は無いほうが良い』
 という結論は出てくるんだと思うよ」
「『時代は徐々に変わるほうが良い』
 という意見も多いけど
 『システムを変えれば時代は早急に変わる』
 という意見もあるよ」


「早急に変えたほうが良いのかしら?」
「それは急を要すると思うよ」
「なぜそう思うの?」
「それはね
これ以上犠牲者を増やしてはいけないからだよ」


「犠牲者って?」
「戦争や内紛、貧困や飢餓による死者や障害者
 これから先起こるであろう
 大震災や大津波、台風や大洪水などの被害」
「お金がないと生きていけない社会だから
 お金がないと何も出来ない社会だから
 いろんな対策が自由に出来ないからなんだね」


「自然に合わせた生き方をするのが一番なんだね」
「自然はお金を必要としないし
 自然からお金を求められることもないってことね。」
「人類みんなが生きていけるための資源が
 今の地球にはそろっているんだよ」
「各地で生産し 各地で消費し 各地で循環する」


「それを世界中の人たちが
 知恵を出し合い
 助け合うってことなんだね」
「未来の生き方って、こんな簡単なことなのにね」
「何度も言うけど
 未来は今より文明が発達するからね」
「原始的な生活に戻るんじゃないんだよね」


「原始的な生き方も
 今より便利な生き方も同時に出来るんだよ」
「それをイメージして
 みんなが意見交換したら未来は楽しくなるよ」