小説の下書きを書いてみよう(1)

「僕も借金してるの?」
「僕も借金を返さなきゃいけないの?」


この物語は
「国の借金は国民が返す」
「次の世代に借金を残さないように」
テレビの報道番組を見ていた
小学6年生の男の子の疑問から始まりました。


男の子は希望稔というごく普通の男の子。
父親は証券マンで転勤が多く単身赴任です。
お母さんは中学の教諭で妹は小学3年生。
庭付きの一戸建てで郊外に住んでいます。


稔は幼いころから父親の持論を聞いてきた。
「お金は社会を良くするためにあるんだ」と。


ところが
「まだ働いてもいない子供にも借金のために
苦しむなんて」
「大人が言ってることは変じゃないか?」
心の中でモヤモヤしたものが湧いていました。


社会の時間では担任の先生に
「お金は社会が良くなるためにあるって
お父さんから聞いたのにどうしてお金で
苦しむ人が多いんですか?」
と聞いてみた。


「それはね、国も国民もお金の使い方が
良くないんだと思うよ」と先生は言ったけど
稔の疑問は解けなかった。
むしろ、これ以上聞いたところで自分を
納得させてくれる答えは期待できそうに
なかった。


とにかく借金をしたことのない借金を
返さなければいけないことに
憤慨をしていたのだ。