小説の下書きです(37)

プリントが配られてみんながざわついた。
「みんなは世界平和ってどんな世界がわかりますか?」先生がみんなに質問をした。
「はい、世界から戦争がなくなることです」「世界中の人たちが仲良くすることです」「困っている人たちがいたら助けてあげることです」
生徒たちはそれぞれ思っていることを言った。


「ところで、提案書を見てビックリしたと思うけど、お金のない世界の話も書いてあります。先生も今まで考えたことのない世界だけど稔君はどうしてお金のない世界を考えたの?」「それは大人の人たちが物々交換をしなければ良いって言ったんです」「ほ〜、物々交換ね。現在は文明が発達して物々交換はしないよ」「それも僕が言ったんですけどね、お金は物々交換を便利にしたけど物々交換は今でも続いているんだって」「なるほど、交換社会は今でも確かにあるね」


「先生、お金は何でも交換できる便利な道具だと聞いたことがあります」と一人の生徒が発言した。
「たしかに。そうだよね。ところで稔君はどう思ったの?」「はい、世界平和は世界中の人たちが家族のようになったら良いという話しになって、家族は物々交換なんてしないという話になったんです」


「なるほどね、70億人が一つの家族という考え方だね。みんなはこの意見をどう思いますか?」
「僕は宇宙のことが大好きで宇宙から撮った地球の写真を見て『こんな小さな惑星に僕たちがいるんだ』って思いました。それを思い出したら一つの家族と思ったほうが良いと思います」「家族の中でもケンカはあるから戦争もあるかもしれません」


「そうだね、いろんな意見があるからケンカもあるよね、それが文化も言葉も考え方も違えば戦争が起きるかもしれないね。そう言うことは提案書にも書いてあったね。え〜っと、これだ『互いの文化を尊重し、互いの不足を補う関係を作ること。損得なしで行動できるシステムにしたいのです。世界中で支え合いの関係が築かれれば飢餓も貧困もなくなり軍隊は不要になります』ここに書いてあったね」


「それと、この文章もそうだと思います『世界平和は「支え合い」「分かち合い」の世界です。互いが互いを必要とし助け合っているのです』」「そうだね、ケンカしても互いが必要な人だったら戦争で殺し合いはしないよね」


「先生、世界平和はなぜ実現しないんですか?」女子生徒が疑問を投げかけた。
「そうだね、誰もが願っているのにいまだに実現しないのはなぜなんだろうね?」「先生も子供のころ世界平和について勉強したことがあるんですか?」「そうだよ、みんなと同じように戦争の悲惨さも世界平和の素晴らしさも勉強したよ」


「先生、こうしたらどうですか。今まで世界平和が実現しなかった理由を考えるのを宿題にしたら」「そうだね、みんながおうちに帰ってお父さんやお母さんと話し合ったり、インターネットで調べてみたりするのも良いね」


先生は生徒に宿題を与え、授業の内容を職員会議で発表した。