小説の下書きを書いてみよう(19)

高齢化が進めば年金受給者が増えてくる。
むかしは「自分が貯めた年金を定年過ぎたらもらえる」と言っていたものだが、いまは「若者が高齢者の生活を守る」という考え方に変わってしまった。


素子はそれを実感して悲痛なコメントを入れたのだ。
「現状悪化を防ぐためにもベーシック・インカムは大歓迎ですね」美佐枝は素子の心情を気遣ってコメントを入れた。そしてもう一言「それにしても年金積立金を増やそうとマネーゲームに投資されているわね。投資家に餌をばらまいているような気がする(涙)」


「そうなのよ、そんなに積立金があるのなら高齢者が安心して生活できるだけのお金を支給すれば良いのよ。そうすれば健康維持のためにも社会のために働くわよ。みんな『何かしたい』と思いながら生きているんだから」「そういえば以前書いていましたよね農家はほとんどが高齢者が働いているって」と幸夫がコメントした。


高齢者はお金儲けは出来ないけど社会のために何かをするだけで健康になれるということを素子は実感しているのだった。


「話を元に戻して、もう一つの世界を作るきっかけは何かないかしら?」素子が軌道修正した。
「政治家に僕たちの提案を聞いてもらうのはどうですか?」栄治が提案した。「僕は何年か前政治家やテレビ局へ提案投稿をしたことがあるんですよ」幸夫が書いた。「え!あるんですか?」「大規模リサイクルセンターを思いついたときですけどね、首相官邸や各政党、マスコミのHPに投稿したんです」「そうなんですか?何か反応はありましたか?」「残念ながらないです(笑)」


「こんなに良いことなのに、なぜ誰も取り上げてくれないんですか?」稔が素朴な疑問を投げかけた。「不思議だよね、資本主義社会の中では取り上げたくない話題かもしれないね」「もう一つの世界作りの話題ならなおさらですね(笑)」幸夫も栄治も否定的な意見しか書けなかった。


しばらくして新しく参加した美佐枝がコメントした「インターネットって世界中につながっているんでしょ?せっかくインターネットを利用しているんだから私たちの会話に外国の人も参加してもらえると良いかもしれないわね」「僕たちは日本語しか話せないよ(笑)」「それもそうね(笑)」


「そうだ!良いこと思いつきました」稔が叫ぶようにコメントを書いた。「なになに?」みんなが一斉に書いた。「こんなのはどうですか?世界中の人に提案したいから国連で訴えてみるんです」とんでもない内容にみんなはしばらくコメントが書けなかった。


たしかに国連を活用するという話はあったが、まさか国連に行って訴えるなんて想像すらしていなかった。
子供らしいアイデアに大人たちは戸惑った。


国連で演説するのは国の代表者だが、過去にも国連で演説をした子供はいた。国連で世界中の代表者に訴えることが出来たら、一歩前進するかもしれない。