小説の下書きです(47)

掲示板では栄治が緊急メッセージと題してコメントを入れていた。
「皆さんに嬉しいメッセージがあります。友だちに稔君のテレビの映像を見せたら感動して『僕に翻訳させてくれ』って言ってくれたんです。彼は帰国子女なんです。とりあえず彼に任せることにしました」


突然の朗報に美佐枝と素子がさっそくコメントを入れた。
「栄治さん、ありがとう」「栄治さんは素敵な友だちに恵まれているんですね」


その夜は掲示板ではメンバーが集まって編集会議が始まった。稔出演のテレビ映像の前後に解説を入れるものだった。
「稔君の紹介といきさつを簡単に説明したらどうでしょう?」「誰が説明するの?」「美佐枝さんが良いんじゃないですか?」「え?ダメですよ」「栄治さんが良いんじゃないですか?」「僕は若すぎてダメです」「素子さんなら」「私は老いぼれているからダメね(笑)」「あ、それなら提案書を書いた幸夫さんが良いんじゃないですか?」「そうね。それが一番良いんじゃないかな?」「幸夫さんに決まりですね」「仕方ないですね。私がやります」


幸夫の解説で日本語と英語の二種類の動画を作ることになった。
数日後みんなの協力で二種類の動画が出来上がり、さっそくユーチューブに載せることになった。


「さあ、皆さん世界へ発信しますよ。皆さんのブログからも動画を紹介してくださいね」栄治は裏方の仕事は大好きだった。お金儲けのために働くのは嫌だったが誰かの役に立つことをすることに疲れを感じていなかった。


栄治がユーチューブに動画を投稿した。
タイトルは「12歳の少年が国連で演説!?」というテレビ番組と同じ題名であった。
あらかじめ拡散していたこともあって時間とともに視聴回数が増えていった。
視聴回数が2000回を超えてから減速気味ではあったが少しずつ増えていた。
「なんだか選挙の投票を見てるみたいね(笑)」美佐枝が掲示板でコメントを入れていた。


ユーチューブ動画のコメント欄には多くの賞賛の声が書かれていた。
「本当に国連で演説できたら良いですね。応援しています」「すばらしい!稔君がんばれ。応援していますよ」「世界平和が実現する実感が湧いてきました。稔君ありがとう」「早く実現できるように私たちも拡散します」


3日後には視聴回数が1万回を超えた。
4日後には一つの民放が朝の情報番組で取り上げた。たった1分の紹介だったがユーチューブの視聴回数はますます増えていった。


掲示板では「すごい反響ですよ」「みんな演説に期待してるみたいね」