小説の下書きです(35)

「さて、幸夫さんが書いてくださった提案書だけど内容について変更とか書き足しとかありますか?」素子が全員の意見を聞いてみた。


「細かいことまで書き足したら文章が長くなって聞く人の感動が薄れてしまうと思いますよ」「私もそう思います。細かい内容は『やる』と決まってから提案したら良いと思いますよ」「そうですね、とりあえずこの文章で提案書にしたいと思います」


みんなの意見が一致したところで次の話題に進むことにした。


「さて、すぐには国連で演説することは叶いませんがこの計画を多くの人に知ってもらうことが必要です」「国連で演説することを知ってもらうんですか?」


「それも大切ですが、もっと大切なのは世界平和の実現が可能だと思ってもらうことね」「世界平和になれば自衛隊の活動も要らないし、難民の受け入れも悩まなくても良いし、領土問題も飢餓や貧困も無くなりますもんね」「そうですね、世界平和が実現する方法を話し合えば提案書の内容が理解できますよね」


「ところで稔君は学校で平和について話し合ったことがあるの?」「はい、社会の時間で勉強しました」「どんな勉強したんだろう?」「近ごろは自衛隊の必要性なんかも教えるんじゃないの?」「政府が言う積極的平和主義は自衛隊の必要性と言うくらいだからね」「積極的に平和を訴えるのなら軍隊を廃止できる環境を作れば良いのにね」


それぞれ意見が出たところで稔がコメントした。
「学校で提案してみようと思うんですけど」「何をですか?」「幸夫さんが作ってくれた提案書を授業で取り上げてくださいって」「良いかもしれないわね」「僕が国連で発表するって言っても良いですか?」「先生は本気にしないだろうけど提案書の内容をみんなで考えてみるのは良いと思うよ」「じゃあ先生に提案書を見てもらってお願いしてみます」


稔は提案書をプリントして翌日担任の先生に見てもらうことにした。
先生は一度読んでみて「わかった、職員会議で提案してみるよ」と快諾してくれた。


数日後稔は職員室に呼ばれた。
「稔君、会議で話し合ったんだけどね小学生レベルで考えることなのか疑問に思う先生もいるんだよ」「僕はインターネットで大人の人たちと一緒に考えて国連で僕が発表しようと決めたんです」「え!そうなの?」「はい!」「それじゃあ、もう一度会議で話し合ってみるよ、稔君はもう決めているんだね」「はい」「もうしばらく待ってね」「はい、お願いします」


稔は自分が本気であることを先生に伝えた。
先生も稔の想いを大切にしようともう一度会議で取り上げる気持ちになった。