小説の下書きを書いてみよう(15)

稔も栄治も幸夫の提案に感動してしばらくコメントを書くのを忘れていたが、栄治が「これって日本だけでいいの?」と疑問を書いた。「私も聞いてみたかったことなんだけどね、循環って資源に限ったことではないですよね。空気や水も世界中で循環してるから汚染されないように世界中が循環型システムを取り入れないとね」と素子が意見を書いた。


しばらくして幸夫がコメントした。
「世界中が大規模リサイクルセンターを作ったらどうなるのか、温暖化も海洋汚染も大気汚染も貧困も飢餓も格差も無くなるんじゃないか、もしかして世界平和が実現するんじゃないか、そこまでイメージしたことがあるんです」「それはチョット考え過ぎじゃないですか?(笑)」すぐ突っ込みを入れたのは栄治だった。


「私は60年生きてきて実家の農業の手伝いをしていると幸夫さんのイメージがわかるような気がするんですよ」素子がそうコメントすると稔も「僕は12歳だから社会経験がないけど大規模リサイクルセンターとお金のない世界が出来るような気がします」と書いた。


それでも栄治は「宗教や文化や風習が違う外国の人に賛同を得るのは難しいんじゃないですか?」と疑問を持ちかけた。「とりあえず日本だけ世界のお手本を作ったらどうでしょう?」と追加コメントした。


幸夫はいままでのいきさつを書いた。
「世界中に広げる前に日本だけ作ったらどうだろうって、多くの人と意見交換してみたんです」「どんな意見が多かったですか?」「日本はすでに循環型社会になってると言う人がいたり、企業の利益を優先するいまのシステムには向かないと言う意見も多かったです」


「やっぱりね、世界同時が良いんでしょうか?」「そうなんですよね、いまのようにグローバル化で世界中がつながっていると一部だけシステムを変えるより一緒に変えたほうが良いみたいです」「それで世界平和も実現できると言うことですね?」「そうなんですよ」


「世界中に提案したらどんな反響が起きると思いますか?」という幸夫の質問に「経済大国でもお金を出したがらないし、戦争や紛争が絶えない国はお金に余裕がないから提案は賛同するだろうけど行動までは無理だろうって思います」と栄治は答えた。


「無理と思えることを出来ると思えるように知恵を出し合うのはどうですか?」「いままで幸夫さんの提案を聞いているだけで希望が持てるようになりましたね」「僕も出来ることを考えてみます」栄治も稔も前向きな気持ちになったようです。