小説の下書きです(46)

放送が終わって稔は自分の部屋に入りパソコンのスイッチを入れた。
「さあ、みんなに報告しよう」
掲示板に向かうとすでに会話が弾んでいた。
「稔君は初めてテレビに出たんでしょ?凄いわよね」「僕なんか一度もないよ」「私だって(笑)」
「みなさんこんばんは」「あら、稔君こんばんは。どうだった?テレビ出演は」「恥ずかしかったです」


「録画は出来たの?」「はい、出来ました」「パソコンに入れたの?」「いえ、DVDです」「DVDからパソコンへ入れられますか?」「はい、出来ます」「パソコンに入れたらみんなに送ってもらえるかしら」「はい、やってみます」「ではお願いね、一時間くらいしてまた来ますから一旦電源を切りますね」「了解しました」


稔はテレビの放送をDVDで録画したものをパソコンに取り込んだ。そして仲間たちに送信した。
一時間後掲示板に行ってみるとすでに会話が始まっていた。


「稔君すごいよね。しっかり話してるじゃないですか」「私も見たわ、12歳とは見えないわよ」「これで多くの人に知ってもらえたと思うよ」
「こんばんは。見てくれたんですね。ありがとうございます」「稔君ご苦労様でした」「お母さんはきれいな人なんだね」「はい、ありがとうございます」


稔のほかに栄治と美佐枝と素子の4人だったが幸夫が遅くれて会話に参加してきた。


「みなさん遅くなりました。残業があって夕飯が遅くなりました」「幸夫さんこんばんは」「稔君こんばんは、録画を見たよ。良かったよ。ご苦労様でした。ところでみなさんに提案があるんです」「何でしょう?」「稔君が活躍するお話がテレビで放送されたのでそれを活用してみようと思うんです」「どうするんですか?」


「稔君に送ってもらった録画をユーチューブに載せて世界中の人に見てもらおうと思うんです」「世界中ですか?僕は地域の人たちだけしか見ることが出来なくてチョットがっかりしていたんです」「そうよね、国連で演説する目標があるんだから幸夫さんの提案は有効ですね」「私も大賛成よ」「それから稔君にお願いなんだけどね、テレビ局の人にユーチューブに載せて良いですかって了解をもらっておいてね」「はい、わかりました」


「ところで、世界中に発信するんだからせめて英語に翻訳して字幕を入れるとか、二ヶ国語放送にしないとね」「まあ本格的ね(笑)」「だれか知り合いにいませんか?」「映像を編集する人ですよね?」「とりあえず友人知人に当たってみましょうよ」「そうですね、できれば無料でやってもらえると嬉しいです♪」「了解♪」


翌日稔は女性レポーターにもらっていた名刺を見て直接電話をしてみた。
「あ、モシモシ希望稔です」「あら、こんにちは。きょうは何ごと?」「お友だちとお話して僕が出たテレビ放送をユーチューブに流そうっていうことになったんです。そしたらテレビ局の人に了解をもらってって言われてので」「あらそうなの、上司に聞いてみるからチョット待ってね」「はい」「お待たせ、録画は使って良いそうよ。ただしあの5分だけね」「はい、ありがとうございました」


テレビ局に了解をもらった稔は掲示板に了解をもらったという伝言を書いておいた。
ローカルテレビの出演から世界へデビューすることになりそうです。