爺ちゃんとミノル(36)

「お父さんから聞いたんだけど、お爺ちゃんって政治家になろうとしたことあるの?」
「若い頃の話じゃけどの、環境運動をしようる頃本気で思うちょったんじゃ」
「でも何でならなかったの?」
「それはの、年配の政治家に言われたんじゃ」
「何て?」
「本気で世の中を良くしたいのなら政治家になるなって。おかしいじゃろう?(笑)」
「世の中を良くしたいから政治家になるんじゃないの?」
 
 
「いまの世の中を見てミノルはどう思う?」
「どう思うって?」
「いまの世の中は良いと思うかってことなんじゃ」
「良いか悪いかと聞かれたら僕は良いと思うよ」
「そうじゃろうの~。住む家もあるし、毎日食べることは出来るし、毎日お風呂も入れるからの~」
「そういうことなんか~。自分のことしか考えてなかったね」
「友だちの中にも給食代が払えないって子がいたじゃろうが?」
「そうだよね。この間のニュースで仕事が無くなって住む家も無くなった人がいるって」