小説の下書きを書いてみよう(11)

「こんにちは、よろしいですよ、私は60歳の主婦素子です、よろしくお願いしますね」「僕は23歳の会社員栄治です、よろしくお願いします」「僕は小学6年生の稔です、わからないことが多いので参加しています、いろいろ教えてください」「丁寧な紹介ありがとうございます、僕は40歳です、いろんな仕事をしていま契約社員です、よろしくお願いします」


掲示板に幸夫という男性が入ってきて少し緊張気味だけど、「いろんな仕事をして」という文言に興味を持った栄治が尋ねてみた。


「幸夫さんはどんな仕事をされたんですか?」「金融業や運送業や他にもいろいろですよ」「僕は社会人になったばかりだけどなんだかお金儲けがイヤになって転職を考えているんです」「僕も同じ気持ちでいろいろ転職してきましたよ」「それで何かわかったんですか?」「お金がないと生きていけないってこと、それに・・・」


幸夫は続けて答えた。「お金儲けをしない社会なら仕事が楽しくなるってね」「へ〜、仕事が楽しくなるんですか?」「そうですよ、罪悪感が無くなることが大きいかもしれませんね」「罪悪感ですか?」「いろんな罪悪感がありましたね」「そう言えば『お金儲けが悪いんですか?』という言葉を思い出しましたよ(笑)」「お金儲けのために心を痛めることは多いですよ」「そうなんですか」「保険会社のことを書きたいけど、いまは資源の無駄という話題に参加しようと思って参加しました」


稔も幸夫の「仕事が楽しい」というコメントに興味を持った。栄治が「仕事がつらい」と言ってたからだ。
そこで稔は幸夫に尋ねた。


「幸夫さん、資源が無駄にならない方法があるんですか?」「ありますよ、お金の要る社会では難しいことだけどね」「それはなんですか?」「完全循環型システムを作ることなんです」「完全循環型システムですか?僕はよくわかりません」「インターネットで検索してみてごらん」「はい、さっそく見てみます」


稔は聞きなれた「循環型社会」で調べてみた。ウィキペディアでは「循環型社会とは、有限である資源を効率的に利用とするとともに再生産を行って、持続可能な形で循環させながら利用していく社会のこと」とあった。


「あの〜循環って同じ資源を何度も使うってことですか?」「簡単に言うと、そうですよ」「すごいじゃないですか」「それがいまのお金の要る世界では難しいんですか?」「そうですね、すべてはお金が原因だからね」「でもお金を使えば出来ることなんでしょ?」「ところが誰もお金を使うことを嫌がるんですよ」


稔はこんなに良いことがなぜ難しいんだろうと疑問に思った。