爺ちゃんとミノル(52)

「死者もいっぱい出るって予測しているのにどうして安全な場所に住まないんだろう?」
「そりゃあお爺ちゃんも考えたことがあるど」
「お爺ちゃんはどんなことを考えたの?」
 
 
「自然と共存すりゃあええのにって」
「自然と共存って?」
「自然の都合に合わせて生活することなんじゃ」
「自然の都合に合わせるって?」
「人間が安全に暮らせる場所は自然の変化で自由に変えることなんじゃ」
「いまは違うの?」
「人間は自然を管理しようとしているんじゃ」
「人間の住みやすい環境を作ることを言ってるの?」
「そういうことじゃの~」
「それのどこが悪いの?」
 
 
「自然を人間の都合の良いように変えようとすることもいけんがの、危険な場所から離れられんこともじゃ」
「自然の都合に逆らわないことって自然破壊をしちゃあいけないってことだよね」
「そうじゃの~。例えばじゃ、川の流れが変わりゃあ家の場所も変わるし、山が崩れりゃあ山から離れて暮らすじゃろう」